この自粛期間に入る前に訪れた銭湯の話。
向かったのは新地湯
通称『湯煙の城』と呼んでいる
なぜそう呼ぶのか?
写真の通り、建て構えが城に似ているからだ。
誰が見ても思うだろう。
京都では群を抜いてかっこいい外観だと思う。
そして激熱な湯とミストサウナが名物だ。
正直、新地湯のお湯の熱さより熱いところは未だ出会ったことがない。
そして新地湯の位置する中書島は昔、遊郭だった。
その風情は今もなお残っていて、夜に新地湯に訪れるとオレンジ色の街灯が照らす街並みは少しタイムスリップした気持ちにさせる。
並びにはスナックがあり、いつも風呂を上がると下手くそなカラオケが聞こえてくる。
呉竹湯が閉店してから呉竹湯常連たちが新地湯に移籍しているという噂を聞き立てて、『誰かに会えるかな』と淡い期待を抱き、暖簾をくぐった。
先客は3名
誰一人として知ってる人はいなかった。
寂しい気持ちと、このシケきった脱衣所が更に空虚感を煽ぎ立てた。
まぁ気にすることなく入浴する。
新地湯での立ち回りは銭湯仲間に教えてもらったのでその通りに行動する。
まずは身を清めて、すぐにミストサウナに向かう、じっくりミストサウナで体を温める。
ラジオやテレビはないので、ミストのサーサーっと吹き出る音を聞きながら目を瞑り自分と向き合う。
新地湯ってこんなに静かだったっけな 。
段々とサーサーというミストの吹き出る音が波の音のように心地よく感じてきた。
ここで1セット目終了。
入念に汗を流し、水風呂へ。
そこから間を空けずに2セット目に入る。
先程と同じようにミストと一体になるかのよう、リラックスし少しずつ目を瞑る。
ミストの音に集中する。
1セット目よりも心なしか熱く感じる。
少しずつミストの吹き出す音が波の音に変わりかけた
その瞬間
ピタッと音が止まった。
波の音を通り越した『無の境地』に行ったか!?と思ったが
目を開けるとミストが切られていた。
時刻は22時40分ほどだったと思う。
到着したのは既に22時を過ぎていた。
新地湯の営業時間は23時迄。
普通なら、『は!?』って思うかもしれない。
怒る人もいるかもしれない。
『故障か?』と勘ぐる人もいるかもしれない。
でも俺は新地湯のおばちゃんのスタンスを知っているから
『やりやがったな』
と思った。
新地湯のおばちゃんの商売スタイルはかなり強気だ。
22時半を過ぎたら入店お断りする時もあるみたいだ。笑
(特に一見さんは気をつけた方が良さそう。)
ミストサウナが切られ、サウナを強制終了させられたので仕方なく身体を洗い、
激熱風呂に少し浸かって上がった。
自分が最後の客だった。
外でタバコを吸いながら下手くそなカラオケを聴く。
昔の人は、ここで風呂に入ってから英気を養って遊びに行ったのかな。
いや、遊郭で遊んで最後に風呂で締めたのかな。
自分みたいに仕事終わりに癒されに訪れ、道ゆく人にジェラシーを感じながら明日に向けての活力にしたのだろうか、
そう考えていると
『まぁこんな日も悪くないか』
と
過去で現在を美化した。
今や色んな銭湯に行くようになり、自分の中に手札が出来上がってきた。
ゆっくり入るなら此処、仲間と行くなら彼処
新地湯は静かに自分と向き合う場所かもしれない。
心と身体を整えて帰路につく。
そんな今日の一曲はこちら。
My,My,My-Johnny Gill
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